Sweets Parade


「青峰っち! トリック・オア・トリートぉ! お菓子をくれなきゃいたずらするっスよ〜!」

お風呂から上がって、脱衣所にこっそり持ち込んでおいた服一式を纏った俺は、リビングの入口で華麗にターンして叫んだ。
フロントにピンタックフリルをあしらった白シャツに黒いシルクのボウタイを蝶結びして、下は黒のスラックス、あとは真っ赤な裏地の立て襟マント。一応歯もちゃんととんがったやつをはめている。
定番のヴァンパイアってやつっス。いやあさすが俺。決まってる。

「お。なにそれ映画みてえ」
「でしょでしょ? まーシャツ・タイ・パンツは自前なんスけど。マントはこないだ撮影で使ったヤツ借りて来ちゃったっス! 似合う?」

おもちゃの杖を振りかざしてポーズを取ってみせると、青峰っちは真顔で頷きながら携帯をこっちに向けた。

「似合う。写真撮らせろ」
「もっちろん! じゃあ青峰っちもなんか……あっこれよくねっスか!」

俺は言いながら紙袋をあさり、黒い猫耳カチューシャを差し出した。
間髪入れず叩き落された。
くっそこういう時の俊敏性たるやハンパねえなやっぱ……!

「いーじゃんケチ! 青峰っちのケチ! 青峰っケチ!」
「合体させるな! なんで俺がそんなモンしなきゃなんねーんだよ! お前がそれで俺がこれってどう考えてもおかしいだろが!」
「えー魔女っ子衣装とかもいいかな〜って思ったんスけど」
「いや……ねーだろ……」
「ありじゃね? だって前、黒子っち火神っちに魔法少女? の服着せてたっスよ。黒子っちスゲェ目ェ輝かせて『僕と結婚してお嫁さんになってよ!』って言ってたっス。火神っちはその格好で『こんなんじゃもう嫁もらえねーから行くしかねえのか……』って真剣に悩んでて、かわいかったなあ」
「……時々思うんだが、あの二人の力関係なんかおかしくねーか?」
「それもひとつの愛の形っス。……隙ありっ!」

俺は青峰っちが首をひねりつつ両手で携帯を玩んでいるところを見計らって、ダンク決めるくらいの素早さでカチューシャを頭にかぽっとはめた。
おーっしゃナイッシュー。

「あーコラ!」

ま、青峰っちも本気で抵抗してないんだけど。なんだかんだそういうトコは優しい。

「うあー! 青峰っちカワイイ! クロネコ峰っちっス! ねね、一緒に写真撮ろ!」

お互いの携帯でバシバシ写しあいっこして、最後にデジカメをタイマーセットして二人一緒に。
うん。なかなかどうして、いい感じだ。
青峰っちそもそもルームウェアが白黒だから、耳つけただけで十分雰囲気出るっつーか。
無理矢理服を着せられた猫みたいな半眼の仏頂面でちょっと笑えるんだけど、やっぱカッコイイ。

「で、青峰っちィ」

撮影終わった途端にカチューシャをブン投げてソファに座った青峰っちの上に跨りながら、俺はわざとやらしい声を出してその顎を指で掬い上げた。

「お菓子はないんスか? いたずらしちゃうよ?」

イベントごとに疎い青峰っちのことだ。そんなの絶対に用意してるはずが無い。
記念日を覚えたり祝ったりするのなんて、かろうじて俺の誕生日くらい。あとはクリスマス。だってこのひと、下手すりゃ自分の誕生日だって忘れちまうんだから。
だからハロウィンには俺が青峰っちにた〜っぷりいたずらしてやる。
そう思って、今朝からやる気満々……だったのだけ、ど――?

「へェ?」

青峰っちはソファの背もたれに体を預けて、不敵に笑っている。

「そいつぁどうかな、黄瀬」
「え、あ、い、家にあるアメちゃんやガムじゃ誤魔化されないっスからね! ストックのアイスとかもダメ!」
「冷蔵庫」
「へっ?」
「冷蔵庫の上から二段目、見てみ」

まさか――俺はキッチンを見て、青峰っちを見て、ゆっくりと腰を上げて冷蔵庫に向かう。
扉を開くと、すぐに白い箱が目に入った。取り出して開ける。

「なん……だと……」

俺はいつぞやの灰なんたらショーゴ君ばりに驚いた。(そういやアイツどうしてんだろ。どうでもいいけど)
そこに二つ仲良く並んでいるのはいかにもハロウィンといった感じのオレンジの陶器の入れ物に入った、多分パンプキンプリンだ。
あともうひとつ、チョコレートスポンジとホイップの層の上にカボチャやアーモンド、更にマジパンのオバケがのっかっている小さなカットケーキ。
あの青峰っちが、ハロウィンのお菓子を買ってきたとかどういうことなの……。

「Happy Halloween! 甘かったな黄瀬ェ……。こないだ教えに行ったバスケ教室で、子供らにアメ配らされたから俺でもわかンだよハロウィンくらいよぉ!」
「そこそんなに威張るトコなんスか!?」
「フフン。で、黄瀬クン?」
「は、ひ……」
「Trick or Treat.」
「うあ……」

しまった。すっかり失念していた。
青峰っちがこんなもの用意しているとは思ってなくて、どういう格好しようとか何してやろうとかは考えてたのによりにもよって、よりにもよってお菓子買うの忘れてた。

「お菓子をくれなきゃ、イタズラしていいんだよなァ?」

どうする、俺……!







→このまま青峰っちにイタズラされちゃう運命なんスねやっぱ……!

 なんの、負けねぇっスよ!







「……アンタどこまで用意周到なんスか」

もう今リビングにはカメラの連射音が響きまくってる。
「じゃあまずこれに着替えような」と渡されたのは、インポートLLサイズの衣装水色のパフスリーブのブラウスに、ふわふわのパニエでボリュームを出してある白いエプロンスカート。不思議の国のアリスみたいな服だ。
百歩譲ってそれはいい。これならまだなんとか我慢できる範囲の女装、だと思う。ギリギリだけど。
けど問題はその下である。

「おいこれなんなんだよ!」
「何って。下着だろ」
「なんも隠れてねーよスケスケだよ! しかもなんなんスかこのガーターベルトとかハラマキみたいなんとかモロモロイロイロおっかしーだろ!」

そう。その下。俺はいつものボクサーパンツまで奪い取られ、ほとんど隠す気ゼロな一面真っ白いレースのショーツとシースルーのサイハイだか二ーハイだかを履かされ(ご丁寧に同じくレースのガーター付き)ウエストのあたりにもなんかコルセットみたいなのを巻かれて締め上げられている。
うええよくわかんねえ見たくねーし考えたくねえええ。

「それなーなんだっけ。ビスチェ……は胸まであるヤツか。あーえーと、ウエストニッパー?」

服のことならぜってぇ俺の方が詳しいはずなのに、まさかの青峰っちから名称を教わるというこの屈辱を、俺はどう受け取ったらいいんスかね。
勉強不足と泣けばいいのか。普通な自分で良かったと喜べばいいのか。もしくは伴侶のアタマのイカレっぷりを嘆けばいいのか。

「青峰っちの変態変態ド変態!」
「その変態にしょっちゅうヒーヒー鳴かされてんのはどこのどいつだよ」
「ううう……!」
「やっぱ金髪でお前みたいな顔立ちだとそういうの似合うわ。ゴツイけど」
「たりめーだろ男なんだから! つかここで褒められても嬉しくないっスよお! うわあ潜るな! スカートの中潜るなぁひゃあっ!?」
「うるせー」

ふっ、と股間に息を吹きかけられ、体が竦む。ちょ、ちょっと待って。中でごそごそしないで。
なんかスカートやパニエのひらひらが太ももやら膝裏をくすぐるのがヤバい。
俺からはスカートに頭を突っ込んでる青峰っちが何をしているかが全く見えない。
ただ気配と肌で、感じるしかない。それもなんかヤバい。
すすす、とふくらはぎから内腿にかけてゆっくりてのひらでさすられて、膝がかくんって落ちそうになる。

「あっ、あ、」

今度は頬をすり寄せているのか、脚の付け根あたりに青峰っちの髪の毛が当たった。
むず痒い感覚から逃れようと思わず俺は爪先立ちになるけれど、すぐさま腰骨のあたりを両手で鷲掴まれて固定されてしまう。

「ひっ、ちょ、」

睾丸を鼻先で押し上げられる感触に咽喉から悲鳴が溢れた。そのままふにふに鼻やくちびるで弄ばれる。
恥ずかしい。青峰っちの顔があんなところにあるんだ、って改めて思い知らされるような気がして頬が熱くなる。

「やっ、や、あおみねっち、」
「んぁー?」
「んくっ! やめっ、く、くちつけて、こえ、ださな、」
「だってお前が呼ぶから」

俺のスカートの中から聞こえるこもった声。
青峰っちがしゃべるたびに、熱い吐息が薄いレース越しに俺の性器へと吹きかかる。
やめてどうしようすごいウズウズする。
そこだけじゃなく、色んなところが、青峰っちにさわって欲しいって暴れ出す。

「も、ダメっスよぉこんなん……!」
「かはっ、だいぶ窮屈そうじゃねーの」
「ぅ、ンンン、っく、は、ばっ、か、嗅ぐなっ、あっ、く、なめ、るなっ! ひ、ン――!」

布ごと口に含まれてしゃぶられると、レースの細かい網目と唾液になぶられて腰の疼きが一気に増した。
あ、あ、という呆け気味な喘ぎと涎が口からだらしなく垂れ落ちていく。
よろめきそうになる俺のお尻を、青峰っちの大きな手がしっかりしろとでも言う風に叩いて揉む。

「ふぅっ、く、」

ソファの座る方とは反対側から、背もたれ部分に立ったまま寄りかかっている不安定な姿勢で、俺はもうどうしたらいいのかだいぶわからなくなってひたすら青峰っちの舌や指の動きに集中して、結果余計に追いつめられていた。
足の間がなんとなく濡れた感じがしてる。あつい。欲しい。堪えられない。

「――……ッ」

ばかになる。俺ばかになっちゃう。

「あ、ア、ぅあ、あおみねっちぃ……ちゃ、ちゃんと、もっと、して、ほし……」
「じゃこれ持ってろ。さすがに邪魔ンなってきた」

青峰っちがぐいぐいとスカートを手と頭で押し上げようとするものだから、俺は洗濯物を取り込むみたいにしてそれを両手で抱え上げ、自らの下肢を曝した。







見上げると黄瀬の水気をたっぷり含んだ飴色の目とかち合う。
期待と熱のこもった眼差しに、唇の端がぐっと持ち上がるのを自覚する。
滑らかで真っ白な内腿をきつく吸い上げて小さな紅い痕を残せば、目の前でお上品なレースにくるまれたままはしたなくだらだら先走りをこぼしているペニスが打ち震えた。
じわじわ下着が濡れていく感じが気持ち悪いのだろう。時折膝をすり合わせるような動きをするが、俺の手と体に阻まれて叶わない。
普通ならこのまま前を責めてさっさと一度イカせてやるところだ。
でも今はいい具合にココだけに意識が来てるから、つい悪戯心が湧く。
そうだよな。イタズラ、してんだもんな。

「うぁあっ!? な、なんでぇっ……!」

こういう時用のショーツだから、クロッチ部分はもちろん開く。
だからそこから指を挿し入れて、後ろでひくつき始めていた孔をぐるりと撫でてやった。
前はあくまでおしるし程度に舌や唇で刺激してやりながら、呼吸に合わせてて少しずつ。もぐり込む。かき混ぜる。

「いあっ、ン、んううう……ッ」

残念ながらウチの嫁さんはすっかり後ろの方が感じる体になっちまってる。うん俺のせい。トーゼン。
ま、どうせ一生俺が面倒見るワケだし、そうなっても別に問題ないだろ?
だからってまさか最初のうちは俺のキスだけでイケるようになるとは思わなかった。
気持ちの面も大きかったんだろうが、あれにはちょっと感動した。愛の力ってスゲェ。
んでもって乳首イキに至っては余裕すぎてびっくりしたわ。
多分、今日まだ触ってやってねえけどピンピンに勃ってると思う。俺にはわかる。
だってさっきからスカート抱えた腕を寄せて、何気に胸のあたり擦ってんじゃん。

「黄瀬ェ、胸かいーの?」
「へぇっ!? な、なん……全然!?」
「していいぜ? ま、この服じゃ直接は触れねェけどなぁ?」
「っぅっく……」

折角の計画をオシャカにされたせいなのか、まだちょっとご機嫌ナナメらしい黄瀬はそっぽ向いて唸ってる。
それをなだめるようにして指を増やせば、途端に眉尻が下がって、物言いたげに唇が何度か動いた。
そろそろローション無ェと進まなくなってきた。黄瀬の脚、がくがくしてきてる。そしてなにより俺もさっきから股間がきっつい。
脇の下に腕を入れて、そのままごろんと転がすようにしてソファに四つん這いにさせる。
そして素早くベッドルームで目的のものを調達して戻る。
その短い間に若干整えたのであろうスカートとパニエを、再び容赦なくめくり上げて尻と脚をむき出しにしローションをぶっかけると、黄瀬は涙声で抗議してきた。
そう言われてもむしろ出して準備しとけよ、っつったら「しね!」と言われた。なんでだ。
しかし、エロいな。
小さな喘ぎ声を漏らしながら忙しない呼吸を繰り返してる黄瀬が、上半身自分が着てる白と水色の布に埋もれさせて、レースのショーツつけた尻は高々と俺の方に掲げて、今か今かとこの手を待ってる。
そこに食い込んでるガーターベルトがまたいい仕事してるんだなコレが。
引き締まった尻たぶから太腿のあたりはさっきのローションと、あとこいつの先走りでもって、てらてら濡れ光ってる。

「ケツ揺れてんぞ、黄瀬」
「あ、あぅう、」

ぱん、と痛くない程度にてのひらで叩いて撫でまわすと、きゅっとウエストのあたりをくびらせて必死に耐えようとするのが可愛らしい。
だがここだけはどうにもならないようで、さっきからずーっとパクパクしっぱなしだ。

「ひゃんっ!? え、ちょ、やだやだやだあおみねっちそれやだーっ!」

黄瀬は転んだ仔犬みたいな素っ頓狂な悲鳴をあげて、じたばたもがき始める。
手がクロールするみたいに宙をかいて、クッションを掴んだ。

「んぷぁ? なんれ――だよ、どーせ、風呂で洗って来たんだろ」

どうもさっきからこいつ甘くておいしいと思ったらこのローションハチミツみてぇな味がするヤツか。びっくりした。
ついに俺の舌がイカレたか、黄瀬が俺の為に味付きになったのかと思ったわ。

「でっ、でも、はずかし……」

どうも未だにこいつはこれが一番恥ずかしいらしい。
確かに尻の孔舐められるなんて普通じゃ経験しないことなんだろうけども、それより俺がそういうことをしてる……俺にそういうことをさせてるってのが、恥ずかしい、そう本人は言ってる。
まーなあ。俺も黄瀬以外のは死んでもゴメンだな。

「じゃあ恥ずかしがっとけ」
「んううううう!」

両方の人差し指を引っかけて、広げて、舌を突っ込むと、黄瀬は顔をクッションにうずめて全身をこわばらせてすすり泣きみたいな声を漏らした。
唾液を流し込んでとろとろのぐちゃぐちゃになるまでかき混ぜて、俺のを咥える前から泡立つくらいにいじめてやる。
黄瀬はその間ずーっと鼻を鳴らして俺の名前を呼びまくってた。
いじってるとどうしても中に入った時のこと、そしてこれから入ることを想像しちまって自然咽喉が鳴る。
こんな小さくて狭いところに俺のをねじ込む。
熱くて、意外とつるつるしていて、だけどねっとり絡み付いてくる肉を、引き裂くようにして。
どんなに慣れたとはいっても、黄瀬にとっちゃいつだっておおごとだろう。
けど、俺だけはそれを許されてる。
そう考えると愛おしくて、ぎりぎり限界まで舌を押し込んで舐めしゃぶってた。
「やめて」「ヤダ」「バカ」「アホ峰っち」「恥ずかしいよぉ」切れ切れに上がる声は一層高くなって、涙と羞恥で潤んで砕けて俺の耳を心地良く震わせる。
ようやく俺が満足した頃には黄瀬が抱えていたクッションは涎まみれで、今にも下半身が崩れ落ちそうな有様だった。

「ふぁ、う、くる、し、くるしいスよぉあおみねっち……まえ、も、うしろも、ぁ、もぉっ……たす、け、……」

結局ここに至るまで一度も出さず仕舞いだ。
身を屈めて覗き込んでみると、小さな布に収まりきらなくなった黄瀬のペニスは、あまり伸縮性の無いレースにぎっちぎちに押さえつけられて真っ赤になっていた。

「あ! っぅ、う、う、うぁっ、」

そろりとなぞると腰が大げさなほど跳ねる。軽くイったっぽい。
それでも自分で手を出そうとしないところが……なんつーか、こういうのダメかもしんねーけどたまんねェって思う。
こいつはいつだって俺を待ってる。馬鹿みたいに。あークソ。やっぱかわいいだろ。

「こりゃ苦しかったな。悪かった」

そう言って頭を撫でると、肩ごしに咎めるような甘えるような瞳でこっちを見てくるものだから、俺はたまらずその唇に噛みついた。
不自由な体勢ながらも黄瀬は懸命に応えてくる。ああこれを待ってたのかと思う。
まだしてなかったもんな。
唇が触れるたび、舌先が絡むたび、黄瀬の鼻から「ん、ん」と切なげな音が抜けて、それにまた煽られて深くくちづける。
そうやって何度も何度もキスしているうちに、ねだるみたいな動きで俺の股座へと尻が押し付けられる。
俺は前の方のクロッチのリボンをほどいてやりながら、傷つけないように、けど一息にそのほころんだ蕾を貫いた。







「――! ッ――……! ン――……!」

瞼の裏に星が瞬くような衝撃と快感に、俺は声を上げることさえ忘れ全身を慄かせて達した。
肌と肌がぶつかる生々しい音が断続的に響く。
かと思えばお尻に青峰っちの毛が当たるくらいに奥まで突き入れられてぐりぐりってこねるみたいにされて、もう、俺、イキっぱなのに、どうすりゃいいんスかってなっちゃって、涙がぼろぼろ出た。
そのうち体を引っくり返されて、やっと青峰っちの顔がよく見えるようになる。
青峰っちも気持ち良さそう。顔も体もじっとり汗ばんで少し息が荒い。
泣いているわけじゃないのに、青みがかったその目はきらきら光ってすごく綺麗で、なんだかこっちが泣きそうになる。
――俺で、気持ち良くなってくれてるんだあ。

「もっかい、キスして……ほしっス」

気付いたらそう呟いてた。青峰っちはなんぼでも、って優しくキスしてくれる。
しあわせ。
やっぱり俺は青峰っちの顔みながらするのが一番好き。
今気付いたけど、俺の肌と白いレースの間に青峰っちの褐色の手がはさまって撫で上げてくるのって、視覚的にも侵されてるというか犯されてると言うか……ひゃあー結構恥ずかしいっスそして今更ながら俺やっぱとんでもないカッコしてるっスしにたい!

「はー。黄瀬かわいい」
「うくっ、」

でもでも青峰っちがしみじみとそう言ってくれるものだから、ならいいやと思う俺なわけで。
ハロウィンとかもね、青峰っちとこうしてはしゃいでみたかったなって、ホントそれだけなんス。
お菓子だイタズラだ仮装だっていうのは二の次で、青峰っちとこういうイベントごとしてみたかったって要するにそういうこと。
まー青峰っちはどうだか知んねーけど! 変態だから! こんなもの用意してる変態だから!
……ただ考えたら、こんなん用意してるし、お菓子かってくれてるし、なんだかんだで青峰っちもおんなじ気持ちだったのかもって、思ってもいいんスかね。

「っ、黄瀬、ッ、」
「あっ、ア、あお、みねっち、っ……!」

頭上で青峰っちが息を詰めて、胎内のものがぐんと伸びをしたみたいな感じがして、そのあとじんわりあったかくなる。
俺もそれに引きずられるようにしてもう一度昇りつめた。
ふわふわした気持ちで、青峰っちにぎゅっと抱きつく。
青峰っちは何度も頭を撫でてくれた。

「――……だいじょぶか」
「……は、はふ。ヘーキ、っスよ。ちょっと、ちんこ痛いけど……」
「痕なってねーよな」

青峰っちホントに心配そうにしてる。そんならすんなよな、とは言えない俺。しかたない。

「今度覚えておくといーっス」
「はあ!? なんだよコエー」
「青峰っち」
「ん?」
「もっかいお風呂入ったら、プリン、食べよ」
「おー」

最後にもう一度、甘くて長いキスをして、俺たちはどちらからともなく笑い合った。



20121031 Happy&Sweet Halloween!