ハレルヤ
この命を燃やす、炎を。
ぶつかった金属が軋み縺れ合い、火花が散って一つしかない目が眩む。 双肩に衝撃、と同時とんでもない力がかかってくるのが心地良い。 この馬鹿力め。上等だ。 背中から後頭部までが跳ねるように疼いて俺の唇を歪める。
戦っている方が楽だ。 忙しいほうが楽。 必死になっている方が楽。 そうやって何かに追い立てられるように戦ってきたけれど。 まるで其処が逃げ場のように戦ってきたけれど。
頭の中が白くなる。
眼前に迫る紅檜皮色の瞳が興奮に潤み、ひらめく火の尾のように輝いていた。
「Ha!い〜い目してんじゃねえか。」
それは小さな灯り。いずれ大きくなり俺を焼き尽くすかもしれない。
「貴殿こそ・・・っ!」
クソ真面目な表情を崩さなかった相手の口元が不意に綻び、眇められた双眸が俺を睨み返してくる。互いの呼気が触れあい重なり合う。その感じに思わず舌なめずりした。 こいつ、こんな顔する奴だったか? それとも、俺の前だけか。
笑いが止まんねえ。 否、笑ってんのかどうか自分じゃもうわからねえ。
突きを弾き返した合間に頬を拭ったら予想以上にずるりと滑った。見れば血糊。いつの間に切られたのだろう、風圧で裂けたのかもしれない。 体温に紛れて伝い落ちていることさえわからなかった血液が乾いた地面に花を咲かせる。
「・・・赤いな。」
求めている。 忘れるためでなく、逃げるためでなく、痛めるためためでなく。 この戦いは俺を埋める、満たす、掻っ攫う。
「・・・真田・・・幸村ァあああああああ!!!」
全身が震えた。 俺の右眼の空洞が、欲しい欲しいと啼き喚く。
ああ、もう、飛びそうだ。
「伊達政宗ぇええええええっ!!!!!」
この魂を燃やす、炎をくれ。
今、今、この瞬間。
刃という腕で触れて、つながりたい。
END 20060617
習作ですみません。
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